ハッピー・バレンタインtoくろきん。
黒木君大好きです。黒木君のオーボエも大好きです。 千秋にはのだめがいるから、私は潔く身を引きます・・・。 くろきん、ラーヴ!! 全国のくろきんファンに勝手に捧げます。 それでは、「サボテン-始まりの詩-」をどうぞ。 ↓ "きみは、わが魂、わが心、 きみは、わがよろこび、わが悲しみ、 きみは、わが世界・・・・・・" 新学期が、秋。 日本では、草花が芽を出す春がすべての「始まり」にふさわしいとされている。 だから、新学期は春。 少々ではあるが、何か釈然としない思いがある。 長い冬から目覚めた多くの生き物たちが、再びその命を輝かす季節。 そんな春が、僕は好きなのに。 「ねぇ、ヤス。聞いてる??」 コンセルヴァトワール、レッスンが終わったリュカに腕を捕まれる。 「あ、えと・・・これ、恵ちゃんに渡せばいいんだっけ?」 「も~。ヤスはボーとしちゃって。僕、門限が6時だから、もう帰らなきゃ。」 リュカのふくよかで柔らかそうな頬が、ぷー、っと風船みたいに膨らむ。 門限が6時。 ここには、世界中から音楽の極みを求めて、数え切れないくらいの音楽に生きる人々が集まる。 たった12歳のリュカ。 ただし、ここではオトナもコドモも関係ない。 人は、いつからコドモからオトナと呼ばれるようになるのか。 黒木は、リュカからレッスン室に忘れていったのだめの楽譜を受け取り、鞄にしまう。 「ちゃんと届けるよ。男同士の約束。」 そういって指切りしたこの小指は、紛れも無く「オトナ」のものではなかった。 リュカの背中を見送る。 リサイタル以来だな。 黒木の心に、あの時の彼女の音が鮮明によみがえる。 *********************************************************** 「すみません~。わざわざ・・・」 のだめは千秋の部屋にいた。 「いや、男同士の約束だからね。」 そう答えると、 「じゃ、ちゃんと渡したから。」 といって、アパルトマンを去ろうとする。 背中を向けた黒木の腕を、すかさずのだめが捕らえる。 リュカの手と、同じだ。 「ちょ、ちょっと!!黒木君、お茶ぐらい出しますヨ~!!!」 気を使わなくてよいのに。 そう思いつつ、彼女の焦った顔を見て、温かい緑茶を準備してもらう気になった。 「新学期、始まっちゃいましたネェ~。」 黒い瞳、茶色い髪。 「のだめも2年目、もうベテランですヨ!!」 白い肌、細い首。 「ささ、粗茶デスが・・・」 ・・・・・・大きくて、きれいな手。 真っ赤なソファー。 いつも二人で座ってるのだろうか。 「僕も、お休み気分からさっさと切り替えて練習しなきゃな。」 「黒木君は、これからどうするんデスか?」 僕と彼女との距離。 たったテーブル一つ隔てているだけなのに、こんなに遠い。 「マルレのオーディション、いくら人手が足りないからってそんなに甘くはないと思うから。」 「そか、黒木君、マルレ受けるんでしたネ。毎日練習ばっかり?」 湯のみ温かさが、両手に伝わる。 「オーディションがあるにしろ無いにしろ、練習は毎日やってるからね。」 僕のオーボエ。 寝る時以外、手放すことなんて無い。 「のだめも・・・・・・進化しなきゃ。」 彼女が真顔で言うものだから、黒木は目を丸くする。 「進化?一体、何に進化するつもりなの?」 笑をこらえながら、黒木は問う。 「それはモチロン!・・・・・・今は秘密ですヨ!!」 なーんだ。 せっかく聞いてみたのに。 「一曲、いかがデスか?ムッシュー黒木??」 「いいね。特別なヤツを。」 ピアノ椅子に座ると、彼女は大きく、深呼吸をした。 「のだめリサイタル、inサン・ジェルマン!!」 自由な音。 音符に羽が生えているみたいだ。 スタッカットに乗って、跳ねたり、飛んだり。 ・・・・・・胸が、熱い。 こんなにも、この心が熱を帯びることがあるなんて。 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第二十三番へ短調 《熱情》 「熱情」・・・・・・そんなもの、今まで知らなかった。 君が、教えてくれた。 ********************************************************** 「黒木君、お腹空きまセンか?」 さっきの演奏で、お腹いっぱい。 「平気だよ。そろそろ帰らないと。」 「もうすぐ先輩も帰ってきますヨ~?」 外はもう暗い。 アパルトマンは、明日を夢見て練習する学生たちの音で溢れかえっている。 「あ、ターニャのピアノ♪」 のだめはそう言うと、窓を開ける。 私には無理。 耐え切れない。 あの時の言葉を、思い出す。 「恵ちゃん。」 「ハイッ?」 振り向いた彼女の笑顔が、あまりに愛しい。 「ピアノ弾いていて、淋しいと感じることってあったりする?」 突然の質問に、のだめは考え込む。 彼女なら、なんて答えるだろう。 「ない・・・・・・デスね。むしろ、ピアノ弾いてる方が淋しくないデス。」 彼女は続ける。 「ピアノを弾いていると、誰かと会話しているような、手を繋いでいるような・・・・・・」 黒木は黙って聞いている。 「たとえ一人で弾いていても、ピアノがのだめとみんなを結んでいる気がするンです。」 「結んでいる・・・・・・」 「ピアノが無かったら、ここにいるみんなとも出会っていなかったかもしれまセン。」 月の光は、こんなにも君をきれいに照らす。 「きっと、のだめがピアノに出会ってから、その弦はずっとずっと色々な人とのだめを繋いできてくれたから。」 僕も、その中の一人? 聞いてみたくなったが、聞くだけ意味の無いことだと気づく。 すべての出会いに感謝しよう。 ずっと、繋がっていたい。 側にいること、 その温もりに触れること、 その肌を抱きしめること。 たとえ、それが出来ないとしても。 fine ********************************************************* くろきんの恋を見ていると、色々な思いがこみ上げてきます。 感情移入しすぎですかね? 冒頭の詞は、シューマンの「ミルテの花」という歌を引用させていただきました。 昔の人は、ずいぶんストレートに愛を表現できたんですネェ~ くろきんの幸せを願います。 Ricco
by poppo1120
| 2006-02-13 15:46
| SS
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