Garden

15,000HIT、なんと4,000HITに引き続きあるるさんに踏んでいただいちゃいました~♪
毎度ありがとうございます!!!!

無理やりリクエストください☆とお願いし(おかしい?)、キリリクいただいたのでご覧ください!


とある童話がモチーフのお話です。オアシス初のパロディーもの。みなさんお分かりになりますでしょうか?


それでは、「Garden」をお楽しみください。






夜の暗闇は、いつでも心さえ連れ去ってしまう。



「あなた。おなかの赤ちゃんが動いたわ。」

カオリが言う。

「ああ。元気な子を産むんやで。」

コウゾウは答える。

音楽の都。
貧しいピアノ弾きのコウゾウと声楽家のカオリは、つつましいながらも幸せに暮らしていた。


「また、あのピアノの音よ。」

エトウ家の隣には、魔法使いが住んでいるという。
とはいえ、その姿かたちも、肝心の魔法も、街の住人誰一人として見た者はいない。
魔法使いが男か女かさえ定かではない。
ただ、その力は恐ろしいと言い継がれている。

夜になると、魔法使いの家からは決まって美しいピアノの調べが聴こえてくる。
その旋律が聴こえるたび、カオリに宿った小さな命がその音色に呼応するかのようにうれしそうに動く。


「ああ・・・・・・あなたがもう一度ピアノが弾けたなら。」

生まれてくる新しい命のために、コウゾウは宝のピアノを、カオリは自慢の衣服を全て売り払い食いつないでいた。
しかし、コウゾウのピアノを誰よりも愛していたカオリは、魔法使いのピアノの音色が響くたび夫のピアノを弾く姿を思い出しひどく悲しんだ。

「生まれてくるこの子のためや。」

カオリが悲しむと、コウゾウはいつもそう答えた。

しかし、日を重ねるにつれ隣から聴こえるピアノのメロディーに心を痛めるカオリは、ついに病んでしまった。

「あなた、あなた・・・・・・ピアノを弾いて頂戴。」

ついに床から動けなくなったカオリは、息も絶え絶えに夫に訴えかける。
コウゾウは痩せこけてまるで木彫りの人形のようになった妻の姿を見て、ついに決心する。

「・・・わかった。俺に任せとけ。」


その晩、ブロック塀をよじ登って魔法使いの庭に侵入したコウゾウは、立派な屋敷の大窓から漏れる部屋の光を頼りにピアノが置かれている部屋を探し当てた。
家主に見つからないようこっそり屋敷へ入り、静かに静かに、しかし、妻と妻の中に宿る命のためにピアノを弾いた。

カオリはたいそう喜んで、みるみるうちに回復へと向かった。
その姿に気をよくしたコウゾウは、毎日毎日魔法使いの屋敷へ侵入しては、家主の目を盗んで
鍵盤を叩いていた。

しかしある夜いつものようにこっそりピアノを弾いていると、

「誰ネ?毎夜私のピアノを勝手に弾いているのは。」

と細身の女がコウゾウに話しかけた。
魔法使いRuiである。
コウゾウは慌てて彼女にここにいたるまでのいきさつを詳しく説明した。
Ruiは一通りコウゾウの話を聞くと、

「わかったヨ。ピアノは好きなだけ弾くといい。ただし、生まれてきた子は私にちょうだいネ。」

と言い、コウゾウと約束を交わした。


数週間後、無事赤ん坊が産まれカオリは今までの病が嘘のように元気になった。
だが二人の子どもは、Ruiが連れて行ってしまった。


*********************************************

赤ん坊は女だった。

魔法使いは《ノダメ》と名づけ赤ん坊を大事に育てたが、その子が大人の女になるころ、森の中に建てた塔に閉じ込めてしまった。

「あなたの両親はとてもピアノが好きだったから、ピアノだけは置いてあげるネ。」

そう言って、さらに付け加えた。

「そうそう、私がこの塔へやって来たら、必ずピアノを弾くアルヨ。塔の扉は、ピアノの音が聴こえたときだけ開くようにしてあるから。」

と言い残して、Ruiは去っていった。


その日以来、魔法使いは塔を訪れると決まって

"ノダメや、ピアノを聴かせておくれ。"

と合言葉のように言うと、ノダメはピアノを弾いて扉を開けた。
二人のやり取りは幾月日続けられただろう。
そんなある日、隣の都の王子が森の道を馬に乗って進んでいると、木々に隠れるように不自然に建てられた塔を見つけ、側へ近寄ってみた。

"ノダメや、ノダメ。ピアノを聴かせておくれ。"

と女が言うと、それはもう美しいピアノの旋律が聴こえたと同時に塔の扉が開いたから、王子はたいそう興味を持った。
その夜、王子は一人で再び迷路のような森へ行き、塔を見つけるとあの女と同じように

"ノダメや、ピアノを聴かせておくれ。"

と言ってみた。
するとピアノの音が響き、重い塔の扉がギー、と鈍い音を立ててゆっくりと開いた。
中へ入ると、薄暗い部屋に一人の女と、一台のピアノだけが待ち受けていた。


「あなたは・・・Ruiではありまセンね。」

はじめに口を開いたのは、女の方だった。
暗い部屋で月の光だけが彼女の背中を照らしている。
その髪は細くて、白い肌はとても柔らかそうである。
茶色い瞳でじっと見つめるから、王子は女から視線を離せなくなった。

「もう一度、弾いてくれないか。」

王子は勇気を出して女に言ってみると、女はピアノを奏で始めた。
ノダメの演奏する姿、そして冷静と情熱、絶望と希望、酸いも甘いも含んだその指からこぼれるメロディーに王子は心を奪われた。

「・・・・・・ここから出て、城へ来いよ。」

突然の王子の誘いに

「Ruiから逃げ出すことはできないんデス。」

と、ノダメが答える。

「俺が連れ去ってやる、と言っても?」

王子の揺れ動かぬ精神にノダメは胸を打たれるが、

「うれしい・・・ですが、それはダメです。そのかわり、毎晩ノダメに逢いに来てくださると約束してくれマスか?」

と、再度ノダメは答えた。
すると、

「わかった。約束しよう。」

と告げて、王子は帰っていった。


その夜から、二人の物語は始まった。

ノダメは王子と出会い、男という生き物を初めて知った。
それまでは、魔法使いRuiによって完全に外界から隔絶された世界で暮らしていた。

「あなたのお名前は?」

約束どおり毎晩逢いに訪れる男に聞いてみた。

「お前の好きなように呼べばいい。」

男はそう答えて、彼女の白くて大きい手を握った。
ノダメは、まるで狂った時計のように不規則なリズムを打つ自分の心臓に驚きながら、男の顔を覗いてみた。


「あの・・・・・・この気持ちはなんでしょうか?」

「愛だろ。」

「ノダメは愛を知りません。」

「心配することはない。」

「何故デス?」

「俺が、愛そのものだから。」

「えっ?」

「おまえは、ただ感じればいい。」

「どういう意味ですか?」

「愛というものを見て、聴いて、嗅いで、触れて・・・そして味わえばいいんだ。」


こうして二人は毎晩見つめ合い、寄り添い、時に彼はヴァイオリンを、彼女はピアノを奏でながら互いの愛と音楽の糸を紡いでいった。



口づけを交わすときには瞳を閉じるということを教えてくれた。
愛することの意味を教えてくれた。
生きていることの素晴らしさを教えてくれた。
この世で一番大切なものを教えてくれた。

ノダメにとって王子は、かけがえのないただひとつの真実だった。


あくる日、Ruiがいつものように塔を訪れた。
すると、

「Rui。新しいワンピースを下さいまセンか?」

と、ノダメが言う。

「何故?」
「ノダメの服、どれもお腹がきつくて入りません。」
「・・・・・・・なんだって?!この娘はなんて恩しらずネ!!」

Ruiは激怒してノダメの頬をぎゅっと強くつねった。

「・・・ゆ、許してください!!」
「おまえが裏切るなら、ワタシにも考えがある!!」


その晩、王子はいつもの合言葉で塔の中へ入ると待ち受けていたのはノダメではなかった。

「もうあの娘はいないヨ。」
「どういうことだ?」
「ワタシからあの子を奪うなんて・・・お前も消えてしまえばいいネ!!!」

魔法使いはそう言うと、なにやら怪しい呪文を唱え王子に魔法をかけた。

「後悔するがいい!!おまえは二度とあの子に会うことはないヨ。」

Ruiの魔法によって王子の神経は侵され、耳が聞こえなくなってしまった。

王子の音の世界は、消えた。



********************************************


王子は城へ帰る気にはなれなかった。
ただただ、音の無い世界でひたすらに彼女の音を探していた。


失うことには慣れていない。

こんなに苦しいなんて。


汚れの無い心を教えてくれた。
限りない希望を教えてくれた。
失うことの悲しみを教えてくれた。
孤独という意味を教えてくれた。

王子にとってノダメは、かけがえのないただひとつの未来だった。


迷路のような森を彼女の名前を叫びながら幾日も歩き続けた。
声も枯れ、足も棒のようになって、無音の恐怖にさいなまれながらもひたすらに。
空腹も疲労もすべて忘れて、ただあの瞳とあの音に再び出会うまで。

"後悔するがいい!!"

と、魔法使いは言った。

何故、もっと抱きしめなかった。
何故、もっと触れ合わなかった。
何故、もっと口づけなかった。

なぜ、なぜ・・・・・・・・・・・・


混乱と苦悩と切なさと淋しさ。
君を失うなんて。


王子はヴァイオリンを弾いた。
自ら奏でる音色さえ聴こえない。
しかし、左手に響く音の振動が、わずかにこの肉を骨を伝って体中に充満する。
毎日毎日さまよいながら、埋まらない空白をごまかすために弾いた。


奇跡というのは、いったい誰の仕業なのか。


幾年も過ぎたころ、王子はついにノダメと再会した。

「その音色・・・・・・あなたの音だと思いました。」

「・・・・・・・・。」

草木も枯れはて、水さえない砂漠のど真ん中で再び二人は互いを見詰め合った。
太陽の熱で、その胸が焦がされる。

「あなた・・・・・・・・耳が・・・・・・・・・・私の声は?私のピアノの音は?!」

ノダメはその両手で王子の頬をそっと包みながら泣いた。

「愛しています。今度こそ、あなたの名前を教えて。」

ノダメの隣には、小さな子どもが二人を見つめている。
少女は母の手を取ってまじまじと父と視線を合わせながら、

「シ・・・・・ンイチ。」

と言った。


「・・・・・・・・・・・なんだって?」

なんと言う事だろう。
少女の声が、王子に届いたのだ。
塞がっていたはずの耳に、温かくて愛しい声が進入してきた。


「ああ、シンイチ。もうどこへも行きまセン。どうか傍に。」

「・・・もっと、俺の名を呼んでくれ。」




その後3人がどうなったかは、誰も知らない。


                                     fine
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なんだかものすごく長くなった気が・・・アウチッ・・・・・・。

そう、この物語はグリム童話『ラプンツェル』のパロディーでした。
流れはあまり逆らっていませんが、根本的設定はハチャメチャとなってしまって候!!
ゲスト出演;江藤夫妻、孫Rui様。(大変ご迷惑をおかけしました・・・)

あるるさん、毎度お騒がせしました。
こんないい加減でよろしければ楽しんでいただけたら幸いです。
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by poppo1120 | 2006-03-14 13:00 | 捧げものSS
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